研究課題/領域番号 |
17H06924
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
門屋 飛央 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 助教 (60805878)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 日本語学 / 九州方言 / 日本語史 / 五島列島 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、本研究の基礎を作る段階であった。今後の調査の充実を図り、これまでのインフォーマントに加え、3名のインフォーマントを増やすことができた。調査は、平成30年2月と3月に行った。意味論にかかわる文法現象の調査のほか、自然談話の収録も行った。具体的に扱った調査内容は、「コモニ割れた」(細かく割れた)のような「形容詞連用形+ニ」を中心したものである。 自然談話の書き起こしは、現在作業中である。上記の3名のインフォーマントによる談話を録音した。3名は普段から親しく付き合いがある関係であるため、自然な宇久町方言を話していると考えられる。 3月の調査では、宇久島神社所蔵の文献調査も行った。この文庫は、これまで整理がなされてこなかったものである。3月の調査は初回であったため、どのような資料があるのかという全体の把握を行った。今後、必要な人員や期間を決定し、詳しい調査を平成30年度に予定している。 この研究によって、宇久町方言を記述することによる日本語学への寄与を中心として、文献調査による文学や史学への寄与も行うことができているといえる。宇久町においても、話者は方言消滅の危機を感じている。地域コミュニティから方言に関する要請があった場合、それに応える準備も進めている。 また、宇久町方言を研究している縁で、同じ五島列島の藪路木島方言の方言集を作る作業にも参加した。方言集の著者は古川初義氏である。氏の著作は『長崎県小値賀町藪路木島方言集~無人島になった島のことばの記録~』という書名で自費出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度よりインフォーマントをお願いすることができた人数が増えたため、より調査を充実させることにつながった。また、宇久島神社の文献調査も、所蔵者が快諾してくれたため、スムーズな調査につながった。 申請者の居住地が、申請時は福岡県であったが、現在は福井県に変わり、調査地である長崎県五島列島から離れてしまった。そのため、頻繁に調査に行きづらい環境になった。しかし、長期の休業期間を利用して、平成29年度は調査を行うことができており、これは平成30年度も同様に行う。周囲の教職員もサポートしてくれているため、計画に支障はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
長期の休業期間を利用して、宇久町に滞在し、継続して方言調査を行う。調査は、方言の包括的な記述を目標とするものを行う。ただし、これまでの日本語学の成果で報告がみられないような、宇久町方言での現象がみられた場合、積極的に学会発表を行う。 文献調査は、九州大学大学院生の村上義明氏、吉田宰氏の協力を仰いでいる。両名は、近世文学を専攻としており、文庫調査にも数多く参加している。氏らとともに、宇久島神社の文献調査を行う。調査によって目録を作成し、『文献探究』に発表する。
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