研究課題
本年度にあたっては、引き続きアップグレードに向けたシリコンピクセル検出器モジュールの量産体制を整えるため、部材評価や組み立て手法、品質管理の整備などを行い、完成に近づけた。特に、前年度までは一つのモジュールを組み立てるための技術開発に終止してきていたが、この期間には1ヶ月に20個のモジュールを組み立てることに成功した。これらのモジュールは線源などを用いた読み出し試験などにより、最低限の品質を保証することができ、モジュールを量産できることを証明した。更に、この組立を行う際にはモジュールに加えて冷却用のカーボンセルの取付まで行っており、これは他国のグループに先駆けて日本グループで初めて出された成果である。ここに至るまでには、昨年度からさらに開発を要した部分がある。その一つがワイヤボンド部分の封止手法の開発である。ASICとFPCを結線しているワイヤ部分は非常にデリケートな部分になっているが、検出器に組み込む作業時には、構造上の理由からワイヤへの接触の危険性が非常に高い。そこで樹脂による封止を考慮したが、樹脂には運転時を想定した熱サイクル耐性や、厳しい放射線耐性が要求される。そのため、封止の手法開発と同時に部材選定が不可欠であった。そのため、それぞれ耐性試験を行って候補になるものを選定し、それを用いた手法を確立した。前述の少量生産時にはワイヤを損傷することなく、ワイヤをすべて覆う形での封止に成功した。もう一つの大きな成果は先述した冷却カーボンセルの取り付け手法の開発である。この取付には熱伝導性が重要であり、熱伝導性接着剤による広面積接着が必要である。そこで、精密塗布ロボットを用いたパターン形成によって、気泡混入のない塗布パターンを最適化した。それによってこの接着が可能になっている。現在は日本がモジュール制作手法開発を牽引する形となっており、本期間の成果は非常に重要なものとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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