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2017 年度 実績報告書

DOCK8陽性CD4陽性T細胞が実験的SLEを発症させる機序と治療標的候補の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17H06939
研究機関九州大学

研究代表者

櫻井 恵一  九州大学, 大学病院, 学術研究員 (50805273)

研究期間 (年度) 2017-08-25 – 2019-03-31
キーワード自己免疫疾患 / 全身性エリテマトーデス / 自己抗体 / レパトア解析
研究実績の概要

我々は、OVAなどのありふれた抗原をマウスに繰り返し投与することで、実験的に自己免疫疾患が発症するという、「自己臨界点説」を提唱している。またこうして発病したマウスのCD4陽性T細胞を別のマウスに移入することで、自己抗体産生がみられることを示し、このような細胞を(自己抗体産生性T細胞)aiCD4T細胞と命名し、DOCK8陽性T細胞である事を見出した。 今回我々は、このaiCD4T細胞(DOCK8陽性T細胞)による自己抗体産生についてより詳しく検討するために以下の検討を行った。①DOCK8のKOマウス及びTgマウスでの表現型の差異:KOマウスとTgマウスを作成し、OVA免疫に対する反応を病理レベルで確認した(結果は外注機関より送付待ち)②OVA免疫後のDOCK8陽性T細胞のTCRレパトアの解析およびOVA免疫マウスによるBCRレパトアの解析:TCRレパトアの解析を行い、その多様性の減少を確認。一方BCRレパトアでは多様性が逆に増えており、またサブセット解析では胚中心B細胞が増加しており、DOCK8陽性T細胞を介したT細胞ヘルプでB細胞が分化・増殖、また体細胞変異によるaffinity maturationが起こっていると考えられた。③こうしたレパトアのデータから、DOCK8陽性T細胞やそのヘルプによるB細胞のクローンの特徴をコンピュータ上で解析する方法を確立した
④また、そうしたレパトアから特徴的なクローンのTCRをクローニングし、α鎖β鎖をP2A配列を介してベクターに導入することでα鎖β鎖を同程度に発現させることが可能であると考え、ベクター設計や条件検討を行った。以上の結果のうち①から③については2018年度日本リウマチ学会および米国免疫学会にて発表を申し込み、採択された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

DOCK8陽性T細胞に特徴的なT細胞受容体や、SLE発症マウスに特徴的なB細胞受容体のクローンを見つけ出すコンピュータ上の解析手法の確立は、予定通り行えた。
また、その解析結果に基づいて、SLE発症したマウスのDOCK8陽性T細胞に特徴的なT細胞クローンのT細胞受容体配列情報から、人工塩基配列を作成した。
予定ではこの塩基配列を用いて遺伝子導入用ベクターを作成し、非免疫マウスのT細胞に導入し、それを再度移入すること、および抗原提示細胞と共培養することで抗原特異性を確認することを予定してた。
しかしながら、この遺伝子導入研究はP2レベルであり、九州大学の機関承認を必要とした。我々は、導入遺伝子と使用するベクターなどが固まったのちに、九州大学に遺伝子組み換え実験計画書を提出したが、本年度内に実験に関する許可が下りなかったこと、および我々の研究室が移転することが決まったため、再度遺伝子組み換え実験に関する機関承認を取る必要性が出ていることから、予備実験も、組み換え生物作成に該当しない範囲までしか行うことができなかった。

今後の研究の推進方策

これまでにT細胞受容体およびB細胞受容体レパトアは軽鎖・重鎖(α鎖・β鎖)は別々の情報として得られており、特徴的な配列をそれぞれ抜き出しているがその組み合わせは数十にのぼる。今回組み合わせを容易に変更してベクターを作成できるよう工夫しており、これらの組み合わせについて自己反応性のクローンである可能性の高いものから順に実験を進めていくことにしている。
いずれにしても新しい移動先でのP2実験室の稼働が前提であり、そのいかんによっては計画を検討しなおす必要に迫られる場合がある。
そうした実験の施設・組織による遅れは可能性を見込んでおり、そのため、本年度は、すでに判明したSLE発症マウスにおけるDOCK8陽性T細胞の重要性と、それのヘルプによるB細胞成熟について(DOCK8陽性T細胞をソートしその後移入した後のB細胞のサブセットやレパトアの検討など)より詳しく検討を行ったのちに、いったんここまでの成果を順次公表していく予定である。すでに判明している内容については2018年度日本リウマチ学会および米国免疫学会にて報告することとした。これらについては検討を進め本年度中の論文としての公表を目指す

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] SLEの発症における自己抗体産生誘導性CD4 T細胞(aiCD4 T細胞)によるB細胞ヘルプの検証2018

    • 著者名/発表者名
      櫻井恵一、積山賢、塩沢俊一
    • 学会等名
      第62回日本リウマチ学会学術集会
  • [学会発表] The contribution of autoantibody-inducing CD4+ T cell (aiCD4 T cell) help to the B cell maturation and possible autoantibody in Systemic Lupus Erythematosus2018

    • 著者名/発表者名
      Keiichi Sakurai, Ken Tsumiyama, Shunichi Shiozawa
    • 学会等名
      The American Association of Immunologists, Immunology 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] Dock8-Positive CD4 T cell as Autoantibody-Inducing CD4 T (aiCD4 T) Cell That Causes Systemic Lupus Erythematosus (SLE): Proof of Concept of Self-Organized Criticality Theory as the Cause of SLE2018

    • 著者名/発表者名
      Shunichi Shiozawa,Ken Tsumiyama,Yumi Miyazaki,Keiichi Sakurai,Masaaki Miyazawa
    • 学会等名
      The American Association of Immunologists, Immunology 2018
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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