研究課題
平成29年度において、Activin Aによるヒト歯根膜細胞の線維芽細胞様分化誘導機序として、ActivinⅠ型受容体であるactivin like kinase-4 (ALK4)に着目し、ALK4をノックダウンしたヒト歯根膜細胞を用いて、Activin Aによるヒト歯根膜細胞の線維芽細胞様分化が、ALK4を介したシグナル伝達経路により誘導されることを明らかとした。平成30年度は、ヒト前骨芽細胞の骨芽細胞分化誘導機序を明らかにするため、ALK1をノックダウンしたヒト前骨芽細胞を用いて、骨芽細胞分化に及ぼす影響について解析を行った。まず、上記細胞をActivin A存在下で骨芽細胞分化誘導培地にて3週間培養を行った。その結果、Activin A添加により、石灰化物形成能および骨芽細胞分化関連マーカー因子の発現の亢進を認めたが、ALK1をノックダウンしたヒト前骨芽細胞細胞においては、Activin Aを添加した群において、石灰化物形成能および骨芽細胞分化関連マーカー因子の発現の亢進を認めなかった。これらの結果より、Activin Aによる骨芽細胞分化は、ALK1を介していることが推察された。また、western blotting法を用いて、その細胞内シグナルに関しても解析を行った。その結果、Activin Aによる線維芽細胞様分化の誘導には、ALK4を介したSmad2/3のリン酸化が関与する一方、Activin Aによる骨芽細胞分化の誘導には、ALK1を介したSmad1/5/9のリン酸化が関与することが明らかとなった。以上より、Activin Aはヒト歯根膜細胞とヒト前骨芽細胞に対して異なった受容体を介してその分化誘導を行っていることが示唆され、Activin Aという1種のサ イトカインのみで細胞により異なる分化誘導を行うことで、歯周組織再生に寄与していることが推察された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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