無重力や寝たきりによる骨減少のメカニズムは十分に解明されていない。骨量の減少は骨折を引きおこし、高齢化社会においては、寝たきりや生命予後にも関わる。ゆえに、適正な骨量の維持あるいは再獲得は我が国においても大きな課題の一つである。 骨は常に力学的な負荷を感知し、負荷に応じてその形態を整えていると考えられている。このことから骨を構成する細胞は力学負荷を感知する機能を有すると考えられているが、その詳細はいまだ明らかでない。本研究では近年同定されたメカノセンサーイオンチャネルを骨のメカノセンサーの分子実体と想定した。前年度に正常なマウス骨組織におけるメカノセンサーイオンチャネルの発現を明らかにできたことを踏まえ、平成30年度は、骨減少性の疾患モデル動物を作出し、その発現の変化と骨基質形成との関連を調べることとした。疾患モデルとして炎症性疾患および、尾部懸垂飼育のモデル動物を作製した。それらの骨組織において、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞でのメカノセンサーイオンチャネルの発現の変化、メカノセンサー分子とイオンチャネルとの位置的な関連等を免疫組織化学的手法を用い調べた。その結果、疾患モデルマウスではメカノセンサーイオンチャネルの発現が健常群に比して少なかった。また、骨形成過程と考えられる新生骨上の骨芽細胞におけるメカノセンサーイオンチャネルの発現が低下していた。さらに、メカノセンサーイオンチャネルは骨芽細胞のアクチン線維と密接な関連を示した。こうしたことから、メカノセンサーイオンチャネルが骨荷重の感知と骨減少病態へ関与することが示唆された。
|