研究実績の概要 |
粉末材料とゾルゲル溶液の組み合わせの検討を行いました。具体的には誘電率が低く、比較的高い圧電特性を持つ非鉛強誘電体粉末材料と、誘電率の高い非鉛圧電ゾルゲル溶液を組み合わせてゾルゲル複合体薄膜を金属基板上に作製し、圧電定数d33、誘電率などの特性を測定したうえで、簡易なデバイスを作製し、材料としての評価を行います。粉末材料ではLiNbO3,CaBi2Ta2O9(CBiTa),CaBi4Ti4O15(CBiTi)Bi4Ti3O12(BiT)を、ゾルゲル溶液ではBaTiO3,BiT,(Ba,Sr)TiO3(BST),SrTiO3,TiO2の検討を行いました。その結果、優れた高温特性をLiNbO3/BiT,CBiTa/BiT,CBiTi/BiT,CBiTi/BST, BiT/BiT, BiT/SrTiO3, BiT/TiO2において確認できました。 また、分極条件の最適化の検討を行いました。ゾルゲル複合体は粉末材料を混合してスプレー塗布するため、薄膜中の粉末材料の分極方向がばらばらであり、そのままの状態では圧電特性を示しません。圧電特性を示すためには、強い電界を薄膜に印加し、分極方向をそろえる、分極、といわれる工程が必要となります。通常の分極では直流電圧を直接印加する方法が用いられておりますが、空孔相をもつゾルゲル複合体でその方法を用いると、空孔相からの絶縁破壊がしばしば発生します。絶縁破壊を引き起こすことなく、分極が困難な材料を分極させるために、パルスレーザプラズマと短パルス超高電界という二つの空間を相乗させた特殊場を用いることで、印加電界を飛躍的に向上させることを期待しました。その結果、従来室温では分極困難であった材料の分極に成功しました。
|