研究課題
脳アミロイドアンギオパチー (CAA) は、アミロイドベータ (Aβ) が脳血管に沈着、脆弱化し脳出血を発症する。アミロイドーシス研究において、共存タンパク質が疾患解明の鍵として認識されるようになっている。ところが、CAAにおける共存タンパク質はこれまで検討されておらず、代表研究者はCAAの共存タンパク質の研究がCAAの病態生理の解明、ひいては治療法開発に結びつく可能性があると考え、プロテオミクス解析によりCAAに罹患した脳血管における共存タンパク質を複数同定した (Inoue et al. Acta Neuropathol.2017; 134: 605-17)。その中からEnzyme Xに着目した。Enzyme Xは、生命現象に深く関与する酵素として広く研究されている生理活性物質であるが、それ以外の機能については長らく不明であり、in vitroにおいてAβの毒性発現にいかなる影響を及ぼすか検討を行うことを目的とした。【方法】チオフラビンT蛍光色素を用いたAβ線維形成過程の評価、透過型電子顕微鏡によるAβの形態学的評価、脳血管平滑筋培養細胞を用いたカスパーゼ3/7を指標としたAβ細胞毒性評価を行った。【結果】Aβは、単量体が時間経過と共に次第に凝集しAβ線維形成に至るが、その過程で形成されるAβオリゴマー、Aβ線維が細胞毒性を示す。今回、我々はEnzyme Xが ① Aβオリゴマー形成、およびAβ線維形成を抑制すること ② 一旦形成されたAβ線維を分解すること、さらには③ Enzyme XをAβと共に添加するとAβによる細胞毒性が軽減されるという新しい作用機序を見出し、治療応用への可能性を示した。【考察】Enzyme XがAβの重合過程の阻害、さらにAβ線維分解を介して、細胞毒性を軽減することを明らかにした。これらのメカニズムについて、検討を進めている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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