研究課題/領域番号 |
17H06976
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
赤嶺 孝祐 大分大学, 医学部, 特任助教 (60799435)
|
研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
キーワード | 眼科薬理学 / 時間薬理学 / トランスポーター / 血液網膜関門 |
研究実績の概要 |
網膜には循環血液からの物質輸送を制限する血液網膜関門(BRB)と呼ばれるバリア機能が存在しているため経口・静脈内投与による眼疾患の薬物治療は困難である。BRBには多数の薬物輸送トランスポーターが発現しており、これらが循環血液から網膜への薬物輸送を制御する要因の一つだと考えられている。近年、薬物輸送に関与するトランスポーターの多くが、時計遺伝子の制御下にあり、その発現や機能に概日リズムが認められることが明らかになってきている。これらの点から、血液網膜関門のバリア機能には概日リズムが認められ、薬物が循環血液から網膜へ移行しやすい時間帯、移行しにくい時間帯が認められると仮説を立てた。一方、腹腔内投与したバルプロ酸がマウス網膜で神経保護作用を示すことが知られているため、本研究ではバルプロ酸とその輸送トランスポーターに着目して検討を行っている。本研究結果からバルプロ酸の生体内での輸送トランスポーターとして知られているOatp2をコードするslco1c1 mRNAのマウス網膜における発現量に概日リズムの傾向が認められた。今後は、slco1c1 mRNAの発現量が高い時刻と低い時刻に着目してバルプロ酸の網膜への移行量に投与時刻依存的な変動が認められるか否か検討していく。In vivoでの検討と並行して、BRB構成細胞の1種であるヒト網膜色素上皮細胞を用いてデキサメタゾン刺激により、In vitroで細胞の概日リズムを再構築する手法を確立した。In vivoでの検討後、速やかにIn vitroでの検討が行えるよう準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定ではバルプロ酸腹腔内投与後のマウス網膜内バルプロ酸の定量まで本年度中に行う予定であったが、マウス網膜の前処理方法などが定まらず、安定した定量が行えていない。現在はGC-MSではなくLC-MS/MSを使用することも考慮しつつ、バルプロ酸の定量条件を検討している。
|
今後の研究の推進方策 |
バルプロ酸の定量条件が定まり次第、当初予定通りの流れで研究をすすめる。GC-MSによる定量を予定していたが、LC-MS/MSを用いる(測定条件の変更)、またはサンプル量を増やすなどして安定した定量方法を構築する。
|