本研究の目的は、ギャンブル依存症から回復した当事者からのインタビューを通じて、その回復過程を明らかにすることである。本研究では、ギャンブル依存症の回復者9名にインタビューを実施した。 元々、国際社会ではギャンブル依存症者に対しては、相互援助グループやリハビリ施設における回復支援を中心に、福祉、教育、医療、司法、債務問題への法律的支援等、社会全体での連携した支援が必要であることが広く認識されている。しかし本研究のインタビューでは、一部の専門機関や自分自身でギャンブル依存症からの回復を見出した者もおり、社会全体での連携とは言い難い内容であった。また回復を見出すまでの間、彼らは多額の借金の問題や人間関係に苦しんでいた。 そのため援助者は単にギャンブル依存症者のギャンブルをやめさせるだけではなく、彼らの苦しい生き方、人間関係の障害を回復することを援助しなければならない。本研究の分析結果を通して、よりギャンブル依存症者の回復程に応じた治療プログラムの構築を検討していく必要がある。
|