研究課題
心不全は日本人の死因第2位を占めており、克服すべき重要な疾患である。これまでに申請者らは、心肥大及び心不全発症に関与するp3000/GATA4経路の関連因子として、タンパク質アルギニンメチル化酵素 (PRMT5) を見出した。また心臓特異的PRMT5-TGマウスの心臓に圧負荷をかけると野生型のマウスに比べて心肥大がより強く誘導されることを明らかにしている。このことから、PRMT5は心肥大及び心不全を誘導する因子と考え検討を行ってきた。平成30年度は心臓特異的PRMT5-TGマウス及びKOマウスの心臓組織由来RNAのマイクロアレイ解析を進めた。TGマウスでは約28,000遺伝子が、KOマウスでは約29,000遺伝子が測定され、それぞれ2倍以上発現亢進、低下した遺伝子について検討を進めている。特にKOマウスでは交感神経系や心筋収縮に関与する遺伝子群の発現低下が確認された。また昨年度作成した心臓特異的タモキシフェン誘導型PRMT5ノックアウトマウスにタモキシフェン投与を行った。8週齢マウスにタモキシフェン投与を行ったところ、PRMT5遺伝子の切断が確認された。しかし心機能の経時変化を検討したところ、心臓特異的PRMT5ノックアウトマウスと同様の心機能の低下及び死亡は確認されなかった。昨年度はPRMT5特異的阻害剤が圧負荷誘導性心肥大改善に有効であることを確認しており、心臓におけるPRMT5の役割は時期によって異なる可能性が示唆されており、今後もより詳細な解析を行っていく予定である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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