【研究の目的】訪問看護ステーション(以下ST)利用者のうち、健康保険では「精神及び行動の障害」が第一位となり、精神科勤務経験がないスタッフも精神科訪問看護実践の機会が増加した。そこで精神科訪問看護を行う新人スタッフ育成プログラム開発の資料とするために、スタッフが成長に役立ったと認識するサポート内容を明らかにする。 【方法】一年目は精神障害者を対象とした(以下精神科)STを対象としたため、今年度は主な利用者が精神障害者ではないが、精神科訪問看護を実施している(以下非精神)STとした。研究対象者は精神科訪問看護経験が3年未満で、精神科病院での勤務経験は問わないとした。インタビュー内容は精神科訪問看護において一番困ったこと、その時に役に立ったサポートなどで、半構成的面接にてデータを収集した。インタビューはICレコーダーに録音し、得られたデータを質的に分析し、専門職としての成長に役立ったと認識しているサポート内容を明らかにした。 【結果】研究対象者10名の年代は、20代1名、30代2名、40代4名、50代3名で、平均年齢は42歳であった。専門職としての経験年数は、10年未満と10~20年未満が各3名、20年以上4名、平均16.5年で、精神科病院での勤務経験者はいなかった。精神科STと比較して特徴的であったのは、以下の点である。非精神STの新人で、精神科訪問看護に対して自信がないと感じている者は少なかった。しかし、利用者による操作や看護観の違いからスタッフ間のズレや、訪問看護の目的や方向性に迷いを感じていた。サポート内容では、精神科STでは新人スタッフが担当しやすい利用者を選定していたのに対し、非精神STでは利用者が新人を受け入れる準備を整えるなど、精神科訪問看護の開始タイミングを見計らっていた。また、上司やチームスタッフとの公的ではない雑談が役立つと認識していた。
|