研究実績の概要 |
申請者らが発見したアンドロゲン欠乏による筋萎縮に関与する候補microRNAとして筋委縮関連microRNAであるmir23について検討を実施した。 In vitroの系によりmir23bを筋芽細胞であるC2C12に添加したところミミック群ではミオシン重鎖、MyoD、ミオジェニンによる免疫染色で有意に発現が上昇しており、細胞数の増加を認め、筋委縮に関わる遺伝子発現の上昇を確認した。さらにAkt-mTOR pathwayでも筋委縮に関与を認めることを明らかとした。これらからmir23が筋委縮に関与していることが明らかとなった。 Human studyで血清circulating miR-23のサルコペニアバイオマーカーとしての意義を検討した。血清サンプルよりmicroRNAを抽出し、cell-mir 39をspike inコントロールとしてmir23aおよび23bのΔΔCtを測定した。サルコペニア群では非サルコペニア群と比較して有意に血清miR-23a(3.33±3.49 vs. 1.18±1.28, p=0.006)およびmiR-23b(3.05±3.63 vs. 1.42±0.89, p=0.036)が高値であった。年齢、性別で補正後のmiR-23aおよびmiR-23bのサルコペニアのオッズ比はそれぞれ1.81(95%CI 1.18-2.79, p<0.001)、1.90(95%CI 1.04-3.49, p=0.038)であった。ROC解析ではmiR-23aのサルコペニアのカットオフ値は1.00 (AUC 0.76、感度0.79、特異度0.82)、miR-23bのカットオフ値は2.33 (AUC 0.71、感度0.55、特異度0.88)であった。 これらの結果からは血清miR-23はサルコペニア合併糖尿病で有意に高値であり、サルコペニアのバイオマーカーとなる可能性が示された。
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