研究課題/領域番号 |
17H07022
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
西田 裕 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 後期臨床研究医 (60804705)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | SLCO2A1 / 非特異性多発性小腸潰瘍症 |
研究実績の概要 |
CRISPR/Cas9システムを用いたSLCO2A1欠損腸管上皮細胞株については、HT29でのCas9発現plasmidのトランスフェクションが困難であり、樹立できなかった。ノックダウン実験に変更したが、siRNAもトランスフェクション効率が悪く、細胞からマウスでの評価へと切り替えることとした。 C57BL/6マウスのSlco2a1の遺伝子をloxP配列で挟んだSlco2a1flox/floxマウスと、腸上皮細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現するVillin-Creマウスを交配し、腸管上皮特異的Slco2a1ノックアウトマウス (Slco2a1flox/flox;Villin-creTg/-)を作成した。小腸・大腸・脾臓・肝臓の組織を用いて、real-time PCRおよびWestern blot法を行い、Slco2a1の腸管上皮特異性・欠損効率を確認した。ノックアウトマウスにおいて対照マウス (Slco2a1flox/flox;Villin-cre-/-)と比較し、体重の変化や血便は認めず、8週齢、12週齢のマウスにおいて、腸管のHE染色や、real time RT-PCRにて炎症関連因子の発現を評価したところ、自然発生腸炎は認めなかった。セカンドヒットとして薬剤・腸内細菌叢の変化・胆汁酸刺激などが腸炎形成に関与している可能性があり、まずDSS腸炎モデルを作成した。ノックアウトマウスにておいて、対照マウスと比較し、体重減少が軽度であり、腸管のHE染色でも炎症が軽度であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸管上皮特異的Slco2a1ノックアウトマウスでの自然発生腸炎の有無に関しての結果は得られた。また、ノックアウトマウスと対照マウスでのDSS腸炎モデルでは炎症の程度に差を認め、ある程度の結果は得られている。
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今後の研究の推進方策 |
組織内PGE2と、explant cultureによる細胞外のPGE2の濃度を測定し、SLCO2A1のノックアウトによる影響から、SLCO2A1のトランスポーターの働きや作用を明らかにする。さらにPGE2が上昇しているようであれば、新規治療薬探索としてEPレセプターのアンタゴニストなどの投与を行っていく予定としている。
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