本研究の目的は、積雪寒冷地における在宅高齢者の外出に対する閉じこもり要因および支援の実態と必要性を、積雪期と非積雪期の2時期において明らかにすることである。2時期とも北海道A市の高齢者390名を無作為抽出し、無記名自記式質問票郵送法を実施した。調査項目は基本属性(3項目)、目的別(10項目)に対して外出の頻度(5件法)と外出に対する楽しみ度(3件法)、外出に対する自己効力感(以後SEGEとする)6項目4件法で尋ねた。また外出する際の支援の実態を4件法で尋ね、自由記載欄を設けた。所属大学の倫理審査委員会の承認を得て実施した。 回答に欠損のない134部を分析対象(有効回答率34.4%)とした。分析の結果、2時期ともに前期高齢者が後期高齢者よりもSEGEが高かった。外出目的別の外出の有無とSEGEとの間で有意差を認めた項目は、2時期とも「日用品の買い物」「役所・金融機関等」「デイサービス等」「収入を伴う仕事」「地域での役割」「散歩・運動」であった。積雪期のみ「友人・知人と会う」「除雪」、非積雪期のみ「受診」「庭仕事」であった。外出目的別の頻度とSEGEとの間で有意差を認めた項目は、2時期とも「日用品の買い物」、積雪期のみ「散歩・運動」であった。外出目的別の楽しみの程度とSEGEとの間で有意差を認めた項目は、積雪期のみで「受診」「役所・金融機関等」「地域での役割」「除雪」であった。外出目的別頻度とSEGEとの間で相関関係を認めたのは、2時期とも「趣味・習い事」以外すべての項目であった。外出目的別の楽しみの程度とSEGEとの間で相関関係を認めたのは、積雪期は「受診」「趣味・習い事」以外、非積雪期では「友人・知人と会う」「趣味・習い事」以外の項目であった。外出時の支援は2時期とも約77%が「必要としていない」と回答し、不十分と感じている人は積雪期14.9%、非積雪期11.2%であった。
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