研究課題/領域番号 |
17H07043
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
原口 和也 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90807471)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 白板症 / 口腔粘膜疾患 / テロメラーゼ / hTERT遺伝子 / 異常メチル化 |
研究実績の概要 |
テロメラーゼは癌患者の80%以上に高発現していることが示されており、近年新たな癌マーカーとして期待されている。また、テロメラーゼは、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、内在性RNA鋳型(hTR)などからなる酵素複合体であり、テロメラーゼ活性はhTERT発現と相関していることが明らかとなっている。加えて、hTERT発現は、同遺伝子プロモーター領域のCpG部位における異常メチル化によって引き起こされる。そこで、hTERT遺伝子のプロモーター領域におけるメチル化を、九州工業大学で開発された電気化学的ハイブリダイゼーションアッセイを用いて解析し、口腔癌のスクリーニングシステムとして応用できないか検討した。また、hTERT遺伝子プロモーター領域のメチル化は発癌過程の早期に生じることが報告されているため、前癌病変あるいは前癌状態の段階での早期発見が可能かどうか検討した。 本年度は、まず研究の前段階としてメチル化測定領域の決定の為、過去にhTERT遺伝子プロモーター領域の異常メチル化について報告した論文や著書を検索した。 また、実際に九州歯科大学附属病院口腔外科外来を受診した口腔粘膜疾患を有する患者で本研究に同意が得られた患者から検体の採取を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は実際の患者を対象としているため、検体の採取の際に同意が取れない場合は検体数が増えないということになる。 また、過去の申請者らの研究でもhTERT遺伝子の異常メチル化を対象とした口腔癌のスクリーニングはある程度可能と報告した。よりその精度を向上させるためにはhTERT遺伝子プロモーター領域の中からより口腔癌や前癌病変で異常メチル化がみられ、正常口腔粘膜では異常メチル化が見られない部位を見つける必要があるが、これが困難である。 以上のような理由より、計画よりやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
①検体の採取:平成29年度に引き続き検体の採取を行う。②hTERT遺伝子プロモーター領域の異常メチル化の検出:平成29年度に引き続き、本研究に同意が得られた患者から得た検体を使用して、hTERT遺伝子の異常メチル化をEHA法およびMSPにて測定する。 ③hTERTタンパクの免疫染色:手術時あるいは生検時に得られた標本を使用して、hTERTタンパクの免疫染色を行う。得られたhTERTタンパク発現量とhTERT遺伝子プロモーター領域の異常メチル化との関係を評価する。④hTERT遺伝子プロモーター領域の異常メチル化と53およびTSPYL5遺伝子プロモーター領域における異常メチル化との相関関係の評価:EHA法およびMSPによって得られたhTERT遺伝子およびp53, TSPLY5遺伝子の異常メチル化の関係性を評価し、これら3つの遺伝子の結果を総合的に評価することで、口腔癌スクリーニングシステムの精度が向上するかどうかを検討する。 また、この方法を自己検診システムとして応用していくために、医療者ではなく患者自身に検体を採取してもらい、自己検診システムの可能性を探る。
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