今年度は、孤立や不安に苛まれるシングルペアレントとLGBT当事者に焦点を当てることが新たな「ホーム」を探求するうえでカギとなる対象と考え調査を実施した。 まず、離死別を経験しさまざまな困難や「貧困」を抱えるシングルペアレントたちの共同生活や協力関係に着目し、その現状と可能性を探究してきた。 第一に、鹿児島市の「シングルマザー向けシェアハウス」を調査対象とし、調査を通じて、シェア居住が育児負担の軽減、孤独の解消、子どもにとっての利益、経済的負担の軽減などのメリットを持っていることを確認した。 第二に、サークル活動を通じてシングルペアレントが密な協力関係を築いているNPO法人リシングルファミリー広島の活動を調査対象とした。会の活動が、孤独や不安の解消、死別や離婚の悲しみ・苦しみからの立ち直り、子育て不安の解消、生きがいの創出、老後の心配の解消といった多くの意義をもつことを確認した。ひとり親世帯は、育児の困難が就労困難へ、ひいては生活困難につながる傾向にあり、公的な支援の不備を補う私的な支援の一つとしてこれらの活動が重要な取り組みであることを明らかにした。 そのほか、福岡県におけるLGBT支援の調査を実施し、LGBT施策をめぐる現状と課題を検討している。具体的には、支援団体へのインタビュー調査(NPO法人Rainbow Soup、Haco、九州レインボープライドなど)を主軸として、福岡県におけるLGBTをとりまく現状と今後の課題や展望、現場におけるさまざまな困難について、パートナーシップ制度、法律、教育、企業、啓発活動といった多角的な視点から明らかにした。
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