研究課題/領域番号 |
17H07046
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研究機関 | 沖縄県立看護大学 |
研究代表者 |
村上 満子 沖縄県立看護大学, 看護学部, 准教授 (50403663)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 長期入院精神障害者 / 地域移行 / 主体性の尊重 / 家族 / 沖縄 |
研究実績の概要 |
初年度は北部、那覇近郊、島嶼の3施設において、地域移行の実践状況について1施設、地域移行がすすまない長期入院精神障害者の事例として11名、家族3組、受け持ち看護師8名から質問紙及びインタビューによるデータを収集した。 3施設では長期入院精神障害者の地域移行に積極的であった。 地域移行がすすまない事例は全員が統合失調症で、年齢は65歳未満が8名、65歳以上が3名であった。在院期間は1年以上5年未満が6名、5年以上10年未満が2名、20年以上が3名であった。全員が歩行などの移動能力は自立していた。11名のうち8名が退院を希望していた。このうち2名が自宅と施設に退院した。退院希望の6名のうち3名は家族の退院拒否があり、うち1名の家族が連絡がとれない状況であった。また、3名は退院先が自宅から施設へと変更となり、うち1名は自宅への退院に固執して退院がすすまない状況であった。 3組の家族は両親が2組、兄弟が1組であった。各家族には過去の本人との関係性や、介護・健康問題、経済的問題などさまざまな事情を抱えていた。また、治療関係者とのやり取りから精神疾患や治療方針に関する情報を必要としていた。 受け持ち看護師は、退院しない、あるいはできない理由について長期入院精神障害者と話し合い、共感的理解を伝え、本人の意向を明確化、支持するように努めていた。しかしながら、地域移行という段階では、家族との関係性がネックとなり本人との治療的関係において行き詰まり感を経験していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
沖縄県下5施設のうち、これまで3施設でのデータ収集をほぼ終えている。ただし、家族へのインタビューは、日程調整などに時間を要するほか、治療的な関係性にも影響するため、病棟管理者、受け持ち看護師等と相談を密にして慎重に進めている。地域移行の実践状況を把握するための基本的項目についてはデータがそろい次第、統計的処理をする。長期入院精神障害者と受け持ち看護師へのインタビュー内容については関連文献等をもとに分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、中南部および島嶼の2施設でのデータ収集を行い、合計5施設のデータをもとに、長期入院精神障害者の地域移行における課題を明らかにしていく予定である。
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