研究課題/領域番号 |
17H07053
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研究機関 | 日本赤十字秋田看護大学 |
研究代表者 |
熊地 美枝 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 講師 (40320642)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 医療観察法 / 司法精神看護 / 他害行為 / 通院医療 / 地域支援 |
研究実績の概要 |
6か所の医療観察法指定通院医療機関において、医療観察法通院医療における看護経験のある看護師14名を対象に、半構造化面接を実施した。研究対象者は、男性3名、女性11名で、精神科経験年数は6~40年であった。医療観察法通院医療の経験は1~6年で、対象看護師14名中5名が医療観察法入院医療の経験者であった。インタビューで得られたデータを基に逐語録を起こし、内容分析を実施している。医療観察法通院医療にかかわる看護師は、重大な他害行為(以下、対象行為)を起こした通院対象者に対する怖さを抱え身構える一方で、医療観察法通院医療に関わる医療者としての役割を担うことに責任感を抱き、どのように関係を築くか、どういうケアを行うかに関心を寄せていた。 また、対象行為についての話し合いでは、生活の中での関連するエピソードの機会や対象行為日が近づく時期に話す場合や対象者の方から吐露される後悔や自責の対象者の心情を受容し、支えていることが伺えた。 重大な他害行為の再発防止に向けた関わりでは、関係継続に努めながら、日々の出来事の捉えなおしや困りごとを丁寧に支援することを積み重ねていた。また、受診や支援者との約束に来ないときの対象者への働きかけを役割として担い、対象者と支援者をつなぐ役割も担っていた。クライシスプランの活用では、現実状況を考慮した実施可能性を考慮し、プランの変更を投げかけたり、状態に変化が生じたときにクライシスプランを対象者と確認して対処を検討していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象施設がほとんど遠方であったため、研究対象者と研究者の半構造化面接実施日時の調整等が予想していた以上に難しく、実施に時間を要した。 半構造化面接は全て実施済みで、逐語録も作成済みとなっている。 全体の進捗は遅れているものの、現在分析段階に入っており、最終分析を終え、まとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
29年度の取り組みでは、医療観察法指定通院医療機関に勤務し医療観察法通院医療における看護経験のある看護師の、法対象となった重大な他害行為への関わりや再他害行為の防に向けた方略について現在分析中であるが、明らかにされつつある状態である。 30年度は医療観察法通院医療の対象患者の利用経験のあるグループホームや生活支援センターなどの職員の、法対象となった重大な他害行為への関わりや再他害行為の防止に向けた方略について明らかにすることを目的に取り組む予定であり、29年度と同じく研究対象施設が遠方となるため、半構造化面接の開始を29年度より早く7月頃より開始し、研究遂行していきたい。 29年度と30年度の研究結果を踏まえ、指定通院医療機関と地域支援施設との連携のあり方やそれぞれの役割についても検討し、生活支援を基盤とした中に、新たな再他害行為防止に向けた方略が明らかにしていく。
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