医療観察法通院対象者の利用経験があるグループホームや地域活動支援センター、就労継続支援施設など6か所の地域支援施設において、医療観察法通院におけるケア会議に参加したことがある職員9名を対象に、半構造化面接を実施した。研究対象者の内訳は、男性 3名、女性6名で、現職場での経験年数は2~35年で平均9.25年であった。研究対象者全員が、精神保健福祉士資格を有しており、過去には病院で勤務していた経験を有する者もいた。インタビューで得られたデータを基に逐語録を起こし、内容分析を実施した。 地域支援施設における職員は、再他害行為をするのではないかという疑念を抱く一方で、対象行為を病状が悪くて起きたことと理解し、対象行為自体は罰せられることだが、対象行為に至った経緯を理解すると支援対象であると現実的に捉えていた。管理的な役割も担う者の中には、他職員の受け入れ状況にも気を配り、不安をもつ職員を気遣いながら、勉強会で理解を促し、対象行為の経過をともに丁寧に確認するなど、医療観察法通院対象者の受け入れに向けた理解を促す働きかけを行っていた。対象行為の話し合いについては、話す役割を取らないとする職員や、社会復帰調整官や医師と同席の場で話を聴く者が多かった。しかし、職員の中には、墓参りの際に対象行為の被害者への思いを確認し、通院対象者とともに悔いるなど積極的な関りをもつ者もいた。再他害行為予防に向けた方略では、人とのつながりにより予防することや、服薬自己管理など再対象行為のリスクを低減するための介入などが挙がっていた。 地域支援施設における支援では、医療観察法通院医療機関の看護師の支援と比較し、医療観察法通院対象者同士などの仲間による支援を取り入れるピアサポート的側面を重視している特徴が明らかになった。
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