研究課題/領域番号 |
17H07056
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
山田 穂高 自治医科大学, 医学部, 助教 (70807247)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 脂肪細胞 / 膵β細胞 / G蛋白共役型受容体 / GPR120 |
研究実績の概要 |
脂肪細胞GPR120を介する抗炎症作用の分子メカニズム:脂肪細胞培養細胞3T3-L1細胞にはGPR120が発現していることを蛋白、mRNAレベルで確認した。3T3-L1細胞をパルミチン酸刺激(250µM、24時間)で刺激するとTNF-α、IL-6のmRNA発現が亢進したが、不飽和脂肪酸EPA前処置によって、抑制された。GPR120をsiRNAを用いてノックダウンすると、EPAの作用は有意に抑制された。パルミチン酸刺激で細胞質のTAK1-TAB1複合体は増加したが、EPA前処置で抑制された。C57BL/6マウスを普通食(Chow diet)、高蔗糖高脂肪食(HFHS diet)、HFHS diet+EPA(5% wt/wt)混餌投与HFHS dietの3群にわけ、24週間飼育した。HFHS diet+EPA群ではHFHS diet群に比して精巣上体周囲脂肪におけるマクロファージの浸潤像(crown-like structure)は抑制されており、間質血管成分のM1マクロファージマーカーmRNA発現も低減していた。白色脂肪細胞のMCP-1のmRNA発現もEPA混餌投与群で抑制されていた。 膵β細胞GPR120を介するインスリン分泌メカニズム:ラットより単離した膵島においてGPR120受容体作動薬(GPR120RA)は8.3mM、16.7mMグルコース下でそれぞれインスリン分泌を促進していた。また作用はTRPチャネルの非選択的阻害薬(2-APB)及びTRPCチャネル阻害薬(BTP2)により低減した。GPR1120RAは2.8mMグルコース下ではインスリン分泌を促進しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は脂肪細胞GPR120の抗炎症シグナル解析を中心に実施した。動物実験の解析も終了し、予定実験以上の進捗を見た。その一方で、膵β細胞のGPR120を介するインスリン分泌作用機序の解析は、遅延している。平成30年度はβ細胞研究を中心に進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪細胞のGPR120を介する抗炎症作用の解析はほぼ終了しており、平成30年度は膵β細胞GPR120を介するインスリン分泌メカニズムの解析を中心に行う予定である。以下の2点に関して、検討を行う。 1)ラット膵島で観察されたインスリン分泌に与える影響を電気生理学的手法によって検討を進める 2)cAPM経路とのクロストークを各種阻害薬で検討する。in vivoでも検証可能か検討を進め、年度内の研究終了を企図する。
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備考 |
2018年度日本内分泌学会EJ優秀論文賞
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