研究課題
2018年度は、これまでの研究を締めくくることを目標に、7月のWEHCボストン(MIT)にて銘仙の重要な素材である絹紡糸からレーヨン産業への移行について、イギリスやフランスの事例を中心に報告を行った。この際にアメリカ東海岸のレーヨン関連資料、絹紡糸関連資料を収集し、特にウィルミントンにおいてデュポン関係のアーカイブ、博物館とのコネクションを作ることができた。同時期にインドネシアの島々で絣の製織を見学することもでき、銘仙を代表する絣模様のグローバルコネクション(価値と意味)について考えることができた。年度後半には絹紡糸からレーヨンへの移行、その中でも枢軸国におけるスフ生産の興隆を中心に研究を進め、2019年3月の国際会議(Venice)に向けてカンファランスペーパーを執筆し、口頭発表にのぞんだ。同じ時期にレーヨンに関する英語論文も出版することができた。2017年度から2年に及ぶ研究の成果は一般向けの新聞特集記事、国際会議のカンファランスペーパー、紀要論文、本の1章分などを含む6本、国際カンファランス、シンポジウムで5回の口頭発表にまとめることができた。デジタル・アーカイブの作成と同時に、こうした一連の活動を行うことによって、製糸と絹糸紡績のグローバルな産業連関、歴史、最終製品(銘仙)が持つ社会経済的意義などについて幅広い観点から考えをまとめることができた。屑糸を研究の中心に据えることは、素材を選ばない紡績技術が果たした役割を考える上で意義深い。宗教や常識(アクセサビリティ・価格・使用感)などの縛りの中で、時にそれを乗り越えながら、限られた素材を組み合わせ、使用感と価格のベストなバランスを無限に追求するメンタリティが世界に広がったことの意味を世界史の中で考えることは今後も引き続き取り組むべき課題である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Symposium Textiles and Materiality: Mixing Fibres between East and West, 16th-20th Centuriesカンファランスペーパー
巻: - ページ: 1, 21
城西大学院研究年報
巻: 32 ページ: 1, 17
WEHC BOSTON 2018カンファランスペーパー
巻: - ページ: 1, 12