本研究では、ヘイト・スピーチや女性差別言論といった一定の「害悪(harm)」を生じる有害・不快言論の規制がわが国でも喫緊の課題となっていることを受け、ヘイト・スピーチ等の新規の有害・不快言論を低価値言論として規制することが可能なのか否かを明らかにすることを目的に遂行された。 本年度は、低価値言論と内容規制の関係を明らかにするため、1970年代のアメリカの判例・学説の議論状況を調査した。 その結果、アメリカの言論の自由法理にはその発展過程において、平等原則に関する理論を取り込んでおり、現在のアメリカの判例法理を分析するに際しては、言論の自由法理に混在する平等原則に関する理論を慎重に峻別する必要があることが明らかとなった。 以上の研究成果に関しては、現在活字化の最中であり、近く大学紀要に投稿する予定である。また来年度に、National Women's Studies Association (NWSA) のAnnual Conferenceにおいて本研究の研究成果の一部を英語で発表する予定である。
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