本研究では,相変化物質を乳化することで微細な粒子として液中に分散させた,相変化エマルションを対象とし,分散質である相変化物質の過冷却特性および,分散質の凝固を伴った熱伝達について研究を行った.実験より,界面活性剤の親油基が単結合のみで構成されている場合に,相変化物質の凝固が促されることが明らかとなった.また,相変化エマルションを流動させながら冷却した場合において,分散質である相変化物質は過冷却状態を維持することが明らかとなった.分散質の凝固を伴った熱伝達率は,通常よりも最大で1.4倍まで上昇し,蓄熱熱輸送媒体としての有用性が示された.
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