研究課題
タウタンパク質は、アルツハイマー病をはじめとする様々な神経変性疾患の患者脳内において蓄積することが知られているタンパク質であり、その蓄積と病態の進行は高い関連性があることが知られている。近年のアミロイドβを標的とした治験の失敗から、改めて、タウを標的とした治療薬の開発が注目を浴びている。これまでのアルツハイマー病の薬剤開発は主にマウスモデルなどを用いたものであり、そこにも治験の失敗の原因があると考え、我々はヒト細胞を用いたタウタンパク質の病態解析を目的として研究を行っている。ヒト細胞といえば、induced pluripotent stem cell (iPSC)細胞を用いた研究が多くなされているが、iPSC由来神経では、成人型のタウisoformの割合にはならないことが知られている。タウタンパク質は、主に6つのisoform(3R型と4R型が3つずつ)が成人脳では発現しているが、胎児脳では、最も短いisoform(3R型)しか発現しないことが知られていた。そこで我々は、試験管内において、成人型のタウisoformの割合、特に4R型タウの発現量を上昇させることを目標に研究を開始した。指標にしていた4R型タウの抗体の特異性が問題になることがわかったが、条件検討を重ねることにより、抗体の特異性を発揮出来る条件の特定に成功した。また、iPSC由来神経に加えて、iPSCを経由せずに、ヒト体細胞から直接神経細胞を誘導する系も目指し、miR9/124やBclxlなどの因子を導入することにより、線維芽細胞由来の神経細胞を誘導する系を確立することにも成功した。また、タウ遺伝子変異により引き起こされる家族性の神経変性疾患であるFTDP-17変異がタウオリゴマー形成に及ぼす影響に関しても検討し、FTDP-17変異がタウオリゴマー形成を増大させることを発見し、論文報告することが出来た。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
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