本研究では、下肢切断障害をもつアンプティサッカー競技者を対象に、フィールドによる体力測定の普及を目標に据え、フィールドテストを用いた全身持久力の評価方法を開発することを目的としている。当該年度では、形態的測定と併せて昨年度に開発したフィールドテストを用いて競技レベル別にアンプティサッカー競技者のパフォーマンスを測定することと、測定したデータと試合中のアクティビティの関係性について検証することを目的とした。被験者はアンプティサッカーの競技経験を有する成人男性30名であった。形態的測定として身長、体重、BMI、障害様相等を計測し、フィールドテストとしてスプリント種目、持久力種目、アジリティ種目、跳躍種目等を計測した。フィールドテストの実施環境はすべて人工芝にて競技用のロフストランドクラッチを用いて実施し、サーフェスを統一した。試合中のアクティビティを計測するべく、代表歴を有するエリート群とノーマル群とにわけ、Global Positioning Systemを用いて試合中のアクティビティを計測し、フィールドテストの結果と関係性を検証した。結果、形態的測定のうち、障害様相と各フィールドテストの結果に相関がないことが確認され、本競技における障害クラス分けの議論の解決に導く知見の一つを得た。また、フィールドテストのうち、持久力種目の結果と試合中の高強度ランニングの距離および回数に相関関係が見られ、中でもエリートレベル群ではより顕著であることが示され、本研究で開発したフィールドテストの有用性を証左する成果と示唆された。
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