研究課題
アトピー性皮膚炎 (AD) は増悪と完解を繰り返す湿疹のある皮膚疾患であり、強い掻痒感を呈することが特徴である。AD病態は様々な要因が複雑に絡み合って引き起こされることから、その痒みには既存薬である抗ヒスタミン薬が奏功し難く、『難治性痒み』と言われている。申請者らの先行研究から、ADの炎症局所では感覚神経線維の稠密化が認められ、これにより外部からの痒み刺激や免疫細胞由来起痒物質に対する受容の増加に繋がり、痒み過敏や増強に関与することが示唆されており、難治性痒みの一因と言われる。一方、AD炎症局所には好酸球をはじめとする免疫細胞が浸潤することが知られているが、これらの痒みに対する役割は不明である。感覚神経線維と免疫細胞がAD皮膚局所で相互に作用している可能性が考えられるが、その詳細は不明瞭である。そこで本研究では、好酸球をはじめとする免疫細胞に着目し、感覚神経線維との相互作用の観点からADにおける痒みの発症メカニズムの解明及び新規治療・予防法の開発を目指し、研究を行った。平成30年度は前年度に引き続き、ADモデルマウス及びヒトAD患者皮膚病変部における免疫細胞と感覚神経の分布解析を行った。その結果、ADモデルマウス皮膚のFACS及び組織学的解析により、好酸球の浸潤が認められた。また、その好酸球は皮膚病変部において感覚神経と接触していることが明らかとなった。AD患者皮膚病変部においても同様に、好酸球と感覚神経との接触が認められた。以上のことから、AD皮膚局所において、好酸球が感覚神経に直接接触することで興奮し、痒みを引き起こすことが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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