本研究は、近年、論争となっている弱値の物理的解釈において、存在論的解釈が先行する中、認識論的な解釈を提示するという点において意義があるといえる。さらに、本研究の特徴ともいえる認識論的観点を物理学にもたらすアプローチは、ボーアの量子解釈を物理学全体に拡張するものであり「物理学とは何か」という伝統的な問いに対しても一石を投じる研究といえる。社会的意義の観点からすると、本研究は、いわゆる理系に属する物理学、人文系に属する哲学を結ぶ研究であり、国内の状況を鑑みて、哲学的分析の有用性を示すことができた考えている。
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