研究課題/領域番号 |
17H07102
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
堅田 智子 上智大学, 文学部, 研究員 (50802485)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 和独会 / 独日関係の黄金時代 / 日独交流 / シーボルト |
研究実績の概要 |
本研究は、1870年代から1890年代の「独日関係の黄金時代」(Goldenes Zeitalter in den deutsch-japanischen Beziehungen)におけるドイツに滞在経験のある日本人、日本に滞在経験のあるドイツ人を中心とした交流組織としてベルリンに創設された和独会の活動実態を考究することが目的である。 ドイツプロジェクト、日本プロジェクトに大別して研究を進めたが、平成29年度は和独会の基礎的な情報を抽出すべく、ドイツプロジェクトでは、ドイツにのみ現存する和独会機関誌Mittheilungen der Deutsch-Japanischen Gesellschaft (Wa-Doku-Kai)の収集を最優先課題として実施した。日本プロジェクトでは、ドイツで収集したMittheilungen der Deutsch-Japanischen Gesellschaft (Wa-Doku-Kai)およびすでに日本で収集していた和独会機関誌Ost-Asienを分析し、ここに掲載された和独会の活動報告に関する記事から、組織の創立過程、和独会規約および和独会会員の確認、和独会が開催した定例会などの情報をまとめた。 また、和独会の特徴的な支援活動の一例である日露戦争下での寄付金募集の実態について、Ost-Asienや外務省外交史料館所蔵史料から全体像を分析するとともに、国立歴史民俗博物館による在外資料日本関連資料調査によりデータベース化が進められているアレクサンダー・フォン・シーボルト関連資料の中から、この寄付金募集に関連する資料を発見した。以上の研究実績については、2017年9月に開催されたドイツ現代史学会大会および11月に開催された史学会にて口頭報告を行ない、平成30年度中の公表を目指し、論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツプロジェクトにおいて最優先課題とした和独会機関誌Mittheilungen der Deutsch-Japanischen Gesellschaft (Wa-Doku-Kai)の文献収集がおおむね終了したため、和独会の基礎的情報の抽出および分析をほぼ終えることができた。ただし、データベース上、所蔵があるとされていたアーカイブで、機関誌バックナンバーが行方不明になっていることが判明し、予定していたアーカイブでの調査をすべて終えることができなかったため、平成30年度にベルリンのほか、シュトゥットガルト、ボンで資料収集を行なわなければならない。また、和独会の基礎的情報については、和独会機関誌Ost-Asienの性質とともに平成29年度中に共同論文にて公表予定であったが、他機関に所属する代表執筆者の調整不備により、論文公表時期が1年、延期された。 日露戦争下での和独会による寄付金募集については全体像を特定するに至り、ドイツ現代史学会および史学会にて口頭報告を行ない、論文を執筆中である。 以上のように、研究代表者が単独で行なった研究については、おおむね計画どおりに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツプロジェクトで第一に掲げていた和独会機関誌Mittheilungen der Deutsch-Japanischen Gesellschaft (Wa-Doku-Kai)の文献収集について、アーカイブのデータベース不備により、機関誌バックナンバーの所在不明が明らかになった。このため、平成29年度にベルリンで実施した調査で収集できなかったバックナンバーについては、平成30年度にシュトゥットガルトやボンなどベルリン以外の都市で収集を行なう。また、ベルリン大学、ハイデルベルク大学の大学アーカイブでの調査のほか、平成29年度内での調査で明らかになったドイツ連邦公文書館に所蔵されている史料もあわせて収集し、分析する。 一方、日本プロジェクトとして掲げた和独会による濃尾地震の寄付金募集についても、和独会機関誌や外務省外交史料館所蔵史料を分析し、日露戦争下での寄付金募集と比較しながら、全体像を明らかにする。 平成29年度の研究成果の公表については、平成29年度内に予定していた共同論文での和独会の基礎的情報や和独会機関誌Ost-Asienの性質についての公表を平成30年度内に達成させるべく、再調整を行なっている。日露戦争下での和独会による寄付金募集の全体像についても論文を執筆中であり、平成30年度内に公表予定である。このほか、平成30年9月に開催予定の洋学史学会、10月に開催予定の九州歴史科学研究会、九州西洋史学会共催の日独シンポジウムにて、本研究の成果を口頭報告する予定である。
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