研究課題
産業現場で使用されている化学物質の多くは、分子内に部分的な電子の偏りを有した化学構造をしており、曝露されることにより神経毒性や生殖毒性を引き起こすことが知られている。中でもアクリルアミドは、産業現場において様々な用途で使用されているが、ヒトに対する中毒事例も散見されている。また、近年では、食品の加熱によって生成することも明らかになっている。アクリルアミドは疫学研究において、長期曝露によって感覚障害や歩行障害といった末梢神経障害のみならず、記憶障害や言語障害、抑うつ症状といった中枢神経障害を引き起こすことが知られているが、その毒性発現メカニズムは十分に解明されておら、治療法も確立していない。そこで、我々は、神経毒性発現メカニズムの更なる解明と、ビタミンB1による神経毒性に対する治療法の探索を試みた。前年度、プロテオーム解析で同定したタンパク質のうち、ウエスタンブロット法にて確認された5種類のタンパク質の発現をPC12細胞にて確認した。PC12細胞はNGF(Nerve growth factor)により伸長させ、アクリルアミドは0から2mMまで対数で濃度を振った。その結果、動物実験とは異なり、5種類のタンパク質に有意な変化はなかった。一方、細胞内ATP濃度を測定したところ曝露30分後においてATP量の減少がみられた。ビタミンB1による同時投与を試みたが、ATP量の回復は見られなかった。プロテオーム解析の結果は国際誌Archives of Toxicologyに掲載が許可された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Archives of Toxicology
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10.1007/s00204-019-02471-0