2017年度の研究に引き続き、残りの質問紙をデータ化してSPSSを用いて分析にかけた。 サンプルサイズやその特徴から最尤法(プロマックス回転)を用いて因子分析を行い、最終的に3因子15項目を採用した。3因子はそれぞれリスク回避、善いケア、公正なケアと命名した。各因子の信頼性係数は、リスク回避α=.78、善いケアα=.75、公正なケアα=.74であり、尺度全体ではα=.84となった。 採用された質問項目とそのまとまりから因子と尺度構成について考察し、当該尺度の基準関連妥当性についても既存の尺度と比較検討した。 その結果、看護師の倫理的行動尺度改訂版は尺度項目もすべて行動評価(out put)となり、下位尺度の理論的弁別性と統計的弁別性も一貫され、全国調査を経ておおよそ標準化された尺度として改訂することができた。今後も様々な場面で評価ツールとして使用されることが期待される。 また、因子分析の結果から、臨床の看護師の倫理的行動の根底には生命倫理4原則とは異なるパラダイムの存在も考えられ、実践知から我が国の看護倫理について吟味していく余地も示された。 なお、これら研究実績は日本看護倫理学会第11回年次大会での研究発表と日本看護倫理学会誌第11巻への論文投稿により公開されている。
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