本研究は木質バイオマスの自己発熱による自然発火を用いて、外部熱源に依存することなく試料を半炭化することを目的とした。まず木質バイオマスの自然発火条件を明らかにするために、既往の研究による諸条件を参考に実験を行い、木質バイオマスの自然発火の再現および発火温度の検討を試みた。実験結果から、十分な通気を行った場合、木質バイオマスの温度が180℃以上であれば自然発火が起きることが明らかとなった。また通気量による発火後の温度上昇の制御は十分に可能であることが分かった。 次に、堆肥化で到達する温度から木質バイオマスが酸化され、それによって発熱するか検討した。おがくずを用いて堆肥化実験を行ったところ、材料温度が最大70℃程度まで上昇することが確認できた。しかし70℃という低い温度から木質が酸化され、これによる発熱がみられるかは不明であった。そこで、人為的に木質を70℃まで加熱し通気を行うことで、酸化に伴う発熱がみられるか実験を行った。その結果、10、30および50 mL/min の通気量において温度の上昇が確認できた。酸化による発熱の実験を行った際、通気量が低いほうが到達するピークが高くなり、温度の上昇速度も向上するといった傾向がみられたため、この温度帯での酸化による発熱は極微量のものであり、強すぎる通気は発生した熱を奪うため逆効果であることも分かった。しかし、低温からの酸化によって温度は上昇したが、温度が上昇したどの通気量であってもある程度温度が上昇するとそこで温度上昇が停滞しそれ以上温度が上がらなくなるという結果が得られたため、温度上昇が停滞してしまう原因については今後調査していく予定である。
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