本研究の目的は,購買履歴データから消費者の買い物目的を抽出する新手法を提案し,その買い物目的と店舗選択行動の関連性を探ることである。平成30年度においては,平成29年度の研究成果を発展させる形での研究を予定していたものの,以下に述べるデータの限界により研究の継続可能性検証に一部切り替えた。 平成29年度に多くの時間を費やしたマルチプル購買データのクリーニングであるが,本年度早い段階でクリーニングが終了し,全件データを用いた分析が可能となった。一方で,昨年度に実施した研究発表にて指摘されたデータの主要部分に関する限界点,すなわち購買された商品のカテゴリ区分と購買された商品の数について,平成30年度中の修正が非常に困難であることが判明した。よって,当初計画していた新規分析手法を当該データに適用する前に,既存の手法を用いて分析を行うことで,当該データの妥当性を検証することとした。 既存の手法として,潜在ディリクレ配分法(以下,LDA)を適用し,レシート情報から買い物目的の抽出を試みた。先行研究から得られる知見および昨年度の予備分析の結果同様に,買い物目的には2つのパターンが存在すること,買い物目的と利用業態の間には関係性があることが分析から示された。また,買い物をする人の属性およびその人が置かれた状況が,買い物目的や利用業態選択行動に何らかの影響を及ぼしうることが示唆された。 平成30年度の研究成果については,経営情報学会関西支部研究会で発表しており,研究成果を学術雑誌に投稿すべく準備をすすめている。
|