研究課題
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)は世界の死亡原因の第3位であるが、破壊された肺胞を修復する有効な根治的治療法は未だ存在していない。申請者らは、レチノイン酸誘導体Am80が肺胞上皮前駆細胞の分化を促し、新規肺胞再生治療薬の候補薬物となりうることを見出している。一方で、COPD患者は肺がんを併発していることが比較的多くみられており、このAm80が肺胞再生治療薬となるためには、肺がんを悪化させないことが必要条件である。本研究では、申請者らが開発した非侵襲的な自己吸入経肺投与方法により同所性の肺がんを肺気腫モデルマウスに作製することでCOPDおよび肺がんの併発モデルを作製し、肺胞再生の治療効果に加えて分化誘導剤Am80の肺がんに対する効果を調べることを目的に、本年度は以下の検討を行った。種々の肺がん細胞株をマウスへ投与し、肺への生着と腫瘍の成長過程を検討した結果、検討に適した細胞株とマウス種類、投与方法が決定できた。次に、同所性の肺がんに対しAm80の経肺投与がどのような影響を与えるかを、肺気腫を併発していない病態モデルで評価することが重要である。この目的を達成するために、決定した細胞株、マウス種類、投与方法にて同所性の肺がんモデルを作製し検討を行った。Am80を同所性肺がんモデルマウスに経肺投与し、Am80の抗腫瘍効果について評価した。その結果、Am80の経肺投与は、同所性の肺がんにおいても一定期間で抗腫瘍効果を示し、併発モデルにおいても同時期に治療できる可能性を見出すことができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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