研究課題/領域番号 |
17H07145
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
國村 有弓 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (60801488)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 老化 / キスペプチン / 生殖機能 |
研究実績の概要 |
哺乳類の生殖機能は視床下部ー下垂体ー性腺(HPG)軸によって制御され、加齢とともに低下する。生殖機能の老化研究が盛んだった1980年代は、HPG軸制御の「鍵」となる因子が見つかっていなかったため、生殖機能がどのようにして低下をたどるか不明であった。2003年にこの「鍵」である神経ペプチド”kisspeptin”が発見された。本研究は、kisspeptinニューロンが、生殖機能低下のきっかけに関与する可能性を明らかにすることを目的としている。具体的には、加齢に伴う長期エストロゲン(E2)暴露がkisspeptinニューロンにおけるE2感受性を低下させることによって、生殖機能が低下する可能性を検証する。 今年度はまずモデル動物の作製を行った。Wistar雌ラットを10週齢で購入後、性周期のチェックを行った。長期E2暴露の影響をなくすため、生後5ヶ月で動物を卵巣除去し、飼育を続けた。通常、ラットの性周期は4-5日周期だが、加齢に伴い周期の延長がみられ、その後、連続発情期、連続発情休止期を示すことが知られている。生後10ヶ月から、卵巣除去をしていないコントロール群の動物で性周期を確認しており、現在、生後12ヶ月まで育っている。全ての動物が性周期の延長、連続発情期、連続発情休止期のいずれかを示しており、動物の作製は問題なく進んでいる。 動物の成長を待つ間、kisspeptinとエストロゲン受容体(ER)αの遺伝子発現をみるためのプローブの作製を行い、二重蛍光in situ hybridizationの条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ERαは受容体のため、kisspeptinなどのペプチドより発現が低い。より検出感度を高くするためのプローブの作製に、予定より時間がかかった。作製したプローブを用いてERαとKisspeptin mRNAの二重蛍光in situ hybridizationの条件検討に取り掛かったが、まだ条件の確定には至っていないため、当初の予定より若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、kisspeptinとERαの二重蛍光in situ hybridizationの条件検討を行う。mRNAの検出がうまくいかない場合、シグナルのさらなる増強が可能となる検出試薬の使用も予定している。二重蛍光in situ hybridizationの条件確定後は、性周期が止まったことを確認した動物に高濃度E2処置を施し、無麻酔・無拘束下で1時間に1回の採血を行い、血中LH濃度を測定することで黄体形成ホルモン(LH)サージを検証する。LHサージの低下が確認された後、蛍光二重in situ hybridizationにてERαを発現するkisspeptinニューロンの数を計測する。
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