研究実績の概要 |
新しいパソコンを購入し、全ての研究活動が円滑になり、本研究の対象である資料の整理に最適の環境を整えることができた。 イエズス会日本報告総合目録を様々な情報源から拡大、洗練した。その結果、プロジェクト開始前に約2,500通知っていた報告の総数が3,000通をも上回るということがわかった。なお、ある写本の画像を入手しているかどうか、同時代または現代の印刷版の有無と書誌情報など、研究の道具として充実させてきた。 ポルトガル国立アジュダ宮殿図書館に現存する、澳門イエズス会資料の大部分の複写(19,792枚)を注文した。 英語による『能楽ハンドブック』のために、イエズス会日本報告をも出して「大航海時代の国際史料に見る能」の章を書いた。近日出版の予定である。 同時に、1578年から1615年にかけて、紹介する価値の高い写本の翻刻、英訳、和訳を行ってきた。準備を進めているものには例えば、1578年、大友宗麟のもとの宣教活動を詳述したフロイスのイエズス会総長宛機密報告がある。これは写本でしか伝わらないものとして貴重な資料であり、どこにも紹介されていないと考えられます。なお、秀吉の伴天連追放令発布直後の様子を報告した1588年年報の原本を入手しており、これは副管区長コエリョの自筆本で、フロイスや巡察師ヴァリニャーノの手による削除と書き足しが見えるため、出版されたバージョンと比較するなど、分析を進めている。更に、秀吉の死去より前からメキシコ貿易に進出しようとしてきた徳川家康がフィリピンに宛てた1599年の手紙をヴァリニャーノが手に入れ、その複写にコメントを付けてスペイン国王のフェリペ二世にその内容について密告している自筆本もある。これらの資料についてそれぞれ論文を書くために準備を進めてきた。
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