本研究課題は、現代の人道活動へと連なる20 世紀前半の「近代的人道活動」の萌芽について赤十字国際委員会の組織化と専門化の過程を検証した。さらに国境を越えて活動する個々人のプロフィールに光を当て、そのネットワークを歴史的に再構築したことで、グローバル人材の育成を目指す現代の日本社会に示唆を与えることができ、社会的意義があるものと考える。また、非国家組織やその構成員が国際社会の主体としていかに組み込まれたのかを明らかにすることで、従来の国際関係史の方法論的刷新を試み、トランスナショナル・ヒストリーの手法による新たな歴史像を提供した。
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