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2017 年度 実績報告書

レジスト塗布時に発生する膜厚ムラの形成機構モデル化および抑制指針の獲得

研究課題

研究課題/領域番号 17H07158
研究機関東京都市大学

研究代表者

白鳥 英  東京都市大学, 工学部, 講師 (10803447)

研究期間 (年度) 2017-08-25 – 2019-03-31
キーワード薄膜流れ / 流れの不安定性
研究実績の概要

MEMS等の微細加工技術におけるレジスト膜の塗布工程においてstriationと呼ばれる放射状のスジムラが発生する.
本研究はこのstriationの形成機構を解明してモデル化し,回避・抑制指針を獲得することを目的としている.
研究計画では,スピンコート中にstriationが発生する過程をリアルタイムに捉える実験的なアプローチに加え,
流れの安定性問題として捉えた数値解析的なアプローチの両面から形成機構を解明することを目指している.本年度は,実験面においては膜厚の時系列変化を取得するための測定系を構築した.実験系としては,回転中の基板にレジスト液を滴下して,膜厚の変化を白色干渉によって捉えることを狙い,干渉膜厚計を導入して測定スポットをウェハ近傍に配置するための冶具の設計・製作を行った.
数値解析面においては,striationの発生要因として,濃度差によるMarangoni-Benard不安定性という古くから知られた流れの安定性現象が遠心力場において派生した形であるとの仮説を立てており.本年度はこの仮説に基づいて物理モデルを立てて線形安定性問題として定式化し,これを離散化して得られる一般化固有値問題を解くためのプログラムを作成した.作成したプログラムで計算を行ったところ,基板の回転が無い場合は良く知られたMarangoni-Benardセルが出現するのに対して,基板の回転がある場合はセルが半径方向に伸びたモードが不安定化するという結果を得た.この点は,膜厚ムラが放射状に形成されるというstriationの特徴と定性的に整合する.
数値解析的研究から得られた成果は,国内の複数の学会にて発表し,流体力学会誌「流れ」に解説論文として寄稿した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験面では,おおむね計画に沿って測定系を構築できた.基板だけを回転させた際の振動が光学測定系にどう影響するかまでを本年度実施予定であったが,一部未実施となった.数値解析面では物理モデルの定式化と数値計算コードの作成が計画通りに進んでおり,計算結果も出始めている.

今後の研究の推進方策

実験面では,実際にレジスト材を用いた塗布実験を行う.塗布材料については,樹脂成分は固定して溶媒種を変えたものを用意して実験し,材料の物性値によるスジムラの発生有無や,発生した場合のムラの程度を重点的に調べる.
数値解析においては,本年度得られた結果に基づいて,基本流から擾乱へのエネルギー供給に着目した分析を行って考察を深め,ムラの形成機構を説明することを目指す.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 遠心力場での液膜流れに関する線形安定性解析2017

    • 著者名/発表者名
      白鳥 英,島野 健仁郎,永野 秀明
    • 雑誌名

      ながれ

      巻: 36 ページ: 371, 375

  • [学会発表] 遠心力場での液膜流れに関する線形安定性解析2017

    • 著者名/発表者名
      白鳥 英,島野 健仁郎,永野 秀明
    • 学会等名
      日本流体力学会年会2017
  • [学会発表] 薄液膜の塗布時に発生する放射状スジムラの形成機構2017

    • 著者名/発表者名
      白鳥 英,永野 秀明,島野 健仁郎
    • 学会等名
      日本マイクログラビティ応用学会第29回学術講演会

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公開日: 2018-12-17  

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