研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、主にフランスとアメリカにおける『枕草子』の翻訳をケース・スタディーとして扱い、国際的受容により変容する日本古典文学の実態を、特にジャンルとジェンダー、翻訳をキーワードに解明することを目指した。翻訳の問題については、関連する作品としてレオン・ド・ロニーが1871年に著したAnthologie japonaise『詩歌撰葉』を取り上げ、翻訳の特徴や書評をはじめとする出版にまつわる様々な事項を明らかにした。『枕草子』については、女性読者と作品の関わり方を重点的に調査した。
中古文学
レオン・ド・ロニーの『詩歌撰葉』に関しては、これまで翻訳者ロニー自身への関心が主であり、その本文や翻訳方法の特徴、書評などについての具体的な考察はなされてこなかった。その意味で、洋の東西を問わず文学に共通性を見出そうとするロニーの姿勢についての分析、またその書評の紹介には、学術的な意義が認められるであろう。また、『枕草子』については、作品の機能面から考察しようとする姿勢が、新たな研究の視座を提案するものとして意義があるものと考える。