研究課題/領域番号 |
17H07173
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
安田 利典 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助手 (30802087)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 言語学習アドバイジング / 英語教育 / 教育心理学 / カウンセリング心理学 / コーチング |
研究実績の概要 |
言語学習アドバイジング(ALL)とは、学習者の自律性育成を目的としたプログラムである。本研究課題では日本でのALL普及を長期目標とし、(1)半構造化ALLの開発、(2)アドバイザー訓練プログラムの開発、(3)教員養成へのALLの取り入れを目的とした研究を進めている。 (1)半構造化ALLの開発:アドバイザー経験が浅くても実施しやすい半構造化ALL(特定のタスクをいつ、どのような理由で行うかが明確になっている)の開発を行っている。本研究課題の最終目的は、先行研究にある半構造化ALLを複数人のアドバイザーが実施し、効果の有無や異同を考察して、当該半構造化ALLの一般的原理を説明するモデルを構築することにある。29年度は、(a)半構造化ALLで用いるタスクの開発・修正、(b)アドバイザー募集を行う予定であった。(a)は、専門家から知識供与を受けながらタスクを完成させた。(b)は、4名のうち2名までが決定している。 (2)訓練プログラムの開発:アドバイザー養成の訓練プログラムを開発している。最終目的は、効果検証に基づいて本訓練プログラムをキット化することにある。30年度に当該プログラムを実施する予定で、29年度はプログラム作成を行った。具体的には、訓練プログラムの素案を作成→学会発表でフィードバックを受ける→修正→専門家から知識供与を受ける→修正、というプロセスをたどった。 (3)教員養成へのALLの取り入れ:アドバイザー経験が教員養成に重要な意義を持つと考え、教員養成プロセスに取り入れることを長期目標としている。本研究課題の目標は、訓練プログラムと半構造化ALLの実施前後にアドバイザーにインタビュー等を行い、彼らの教育への信念の変化を捉えることにある。そして、この実証データに基づき、教員養成への有効性を説く事例集を作成する。29年度は、調査の理論的枠組みと具体的な方法論を考案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
29年度は、以下3点を目標としていた。(1)半構造化ALLに関するタスクの開発とアドバイザーの募集、(2)30年度実施予定のアドバイザー訓練プログラムの作成、(3)教員養成へのALL取り入れに関するインタビュー調査の準備と実施。(3)のインタビュー調査は準備段階までとなってしまったが、それ以外はほぼ予定通りに進行している。したがって、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
30年度は、以下のような推進方策をとる。 (1)半構造化ALLの開発:現在までで作成した半構造化ALLを、複数のアドバイザーが実際の英語学習者に実施する。録音、録画されたデータを分析し、本半構造化ALLの効果を検証し、より一般的な原理を説明するモデル構築へとつなげる。 (2)訓練プログラムの開発:本訓練プログラムは、理論編と実践編に分けられており、30年度に両者とも実施する。実際には、研究代表者がメンターとなり、理論編では、アドバイザーがALLに関する理論やスキルを学んで、ロールプレイ等で実践に向けた準備を行う。実践編では、アドバイザーが実際の学習者に半構造化ALLを実施する。メンター(研究代表者)はALLの進行を随時把握し、必要な助言や省察を通してアドバイザーの成長を促す。理論編、実践編で録音、録画されたデータを分析し、プログラムの効果を検証して、キット化へとつなげる。 (3)教員養成へのALLの取り入れ:上述の理論的枠組みと方法論に基づいてインタビューを実施する。録音、録画されたデータを分析し、アドバイザーを経験したことで英語教育に対する信念や考え方がどう変化したかを捉え、事例集作成へとつなげる。
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