古典的なミクロ経済学のモデルでは、財がいくらでも細かく分割できると仮定する。しかし、現実の市場では、分割することが不可能な財(=非分割的な財)がしばしば登場する。そのような財の例として、住宅や車等が挙げられる。非分割的な財を含む市場を分析する場合、解析学・位相数学といった数学のツールを用いることができず、新たなツールが必要になる。本研究では、離散凸解析と呼ばれる離散数学のツールに着目し、その手法を非分割財市場に応用した。その成果として、非分割財市場の既存結果を統一的に理解する新たな数学的手法を提供した。さらに、理論を現実の非分割財の分配問題に応用し、分配結果の望ましさを評価する研究を行った。
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