本研究の目的は、壮年期(40~64歳)に脳卒中等を発症し中途で身体障害者となった地域生活している男女を対象にインタビュー調査を行い、彼らの生きた経験を明らかにすることである。本研究は、湘南医療大学倫理審査委員会による審査を受け承認を得ている(平成29年10月11日受付番号24)。 2017年度は壮年期に脳卒中を発症し、すでに病院等から退院し地域生活を送っている男女を対象にインタビュー調査を実施した。応募は、主に関東と関西圏の脳卒中当事者のグループの代表に文書で依頼し、参加者には研究の概要を説明し同意を得た上でインタビューを実施し、ICレコーダーに録音した。その結果、研究インタビューへの参加者は男性15名(発症からの期間21~106ヶ月)、女性13名(発症からの期間13~192ヶ)であった。インタビュー時間は1人平均1212分であった。就労状況は男性は、自営2名、一般企業障害者雇用7名、一般企業正規雇用1名、休職中1名、無職3名であり、女性は、自営1名、現職パート1名、休職中2名、無職9名(主婦を含む)であった。 2018年は主にインタビュー内容の分析を行った。その結果、大テーマとして「仕事に関すること」「リハビリテーション格差」「伝承:経験を伝える(家族に・当事者に・支援者に)」「探求:生き方を求める、障害のある自分を生きていく」「混沌:閉じこもる」「回復:「普通」に戻る、当事者の求める回復」の6つが得られた。今回は特に「回復」に焦点を当てて分析した。その結果、当事者が求める回復として「Normalへの希求」「Enableの喜び」「Ordinaryな存在」「Daily Lifeの継続」「Idealを抱く」「Sense of Selfの継続と変化」「Common Senseとのズレ」「Common Peopleとの差異」の8つの概念が見出された。
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