研究課題/領域番号 |
17H07205
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研究機関 | 新潟産業大学 |
研究代表者 |
郷 香野子 新潟産業大学, 経済学部, 助教 (80799908)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 事例ベース / イノベーション / 採用意思決定 / 類似度 / 学習 / 多属性意思決定モデル |
研究実績の概要 |
本研究は、イノベーションの採用という不確実な状況での決定に事例ベース意思決定理論(CBDT)を適用している。とりわけ、消費者は外部から情報を集める「学習」を行いながら決定することから、CBDTを学習状況に拡張することを中心的な課題としている。この課題に対し、平成29年度に消費者実験による実証研究、平成30年度には購買行動データによる実証研究を行うよう計画した。 ・消費者実験による実証研究:過去からの継続研究は『行動経済学』に掲載された(*2018掲載予定)。ここでは、CBDTを革新製品(「グーグル・グラス」を対象)の採用状況に適用し、これまで援用されてきた多属性意思決定(MAD)よりも予測妥当性が高いことが実証された。さらに、「学習」として広告によって製品のポジションを得る状況にCBDTを拡張した。これに加え、外部から製品のクチコミを得て不確実性が低下する学習について、CBDTにおける類似度の不確実性が低下する、利用するモデルがCBDT→多属性意思決定(MAD)へと移行するという仮説を設定し、消費者実験の計画を立てた。 ・購買行動データによる実証研究:実際の消費者の購買行動データのみを用いて、CBDTを適用できるかを検討した。基礎的検討として、革新製品の採用をパネルデータから得られる発売前の情報のみから予測できることを実証した。この研究については国際学会で報告を行なった。今後は「消費者実験による実証研究」にて実証するモデルを購買行動データに適用する予定である。 なお、この研究を遂行するにあたり、パソコンの購入費、仮説設定や実証分析に用いる書籍の購入費、関連する学会への参加費および旅費、研究協力者との打ち合わせのための旅費として予算を執行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・消費者実験による実証研究:平成29年度に消費者実験による実証研究を予定していた。しかし、消費者の購買行動データによる実証研究を優先して実施したため、計画よりはやや遅れていると判断する。ただし、平成29年度には仮設の設定および実験の計画をたてたことから、当初の計画の通りの報告ができる見込みである。 ・購買行動データによる実証研究:平成30年度に計画していた購買行動データによる実証研究は、消費者実験による実証研に先立って進めた。基礎的検討として、革新製品(「新しいタイプの洗剤」)の採用をパネルデータから得られる発売前の情報のみから予測できることを実証した。さらにCBDTを購買行動データの分析に適用するための詳細な条件や方法を検討した。さらに、消費者実験で実証するモデルを消費者の購買行動データへの適用も概ね良好に進行している。購買行動データによる実証研究については、概ね順調に進展していると判断する。 総合的に判断し、全体としては、「概ね順調に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
・消費者実験による実証研究:平成30年度は、消費者実験を実施する予定である。なお、申請時に提出をした仮設については一部変更を行ったが、概ね計画した内容の通りに進行する予定である。 ・購買行動データによる実証研究:平成29年度に引き続き、購買行動データによる実証研究を進める。さらに、消費者実験で実証するモデルを消費者の購買行動データへの適用する予定である。
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