本研究の学術的意義は二点挙げられる。まず,MFCAの計算的機能の側面に着目し,継続的実践を促進する経済合理的な原理とは異なる原理として社会的な感情の影響を提起した。実践における感情がどのように会計現象に影響を与えているのかについて議論した研究は少なく,MFCAの継続的実施の意義について解釈を深めたと言える。第二に,管理会計研究の領域において着目されている感情と会計の相互作用の議論を環境管理会計の分野に拡張した。本研究の知見を通しては課題として管理会計の分野に対しても計算と実践者の感情,行動がどのような関係にあるのかについて新たな知見を提示したと言える。
|