現在、研究実施計画に記載したヒト口腔組織から歯肉上皮を単離・培養において安定した結果が得られていない。単離までは問題無く処理出来ているが、単離後の培養時に細胞がシャーレに定着しない場合や、定着しても細胞分裂が起きず、培養が困難になることがある。また、サンプルを得られる機会も限られており、早急な改善が難しい状態であるが、培養の安定にむけて検討していく予定である。 しかし、研究実施計画に記載したヒト歯肉上皮細胞の代用としてヒト歯肉上皮癌株化細胞(Ca9-22)を用いた実験結果において、P. gingivalis 由来 LPSを添加することにより上昇した炎症性サイトカインであるIL-8、TNFの遺伝子発現が、IL-35を添加することにより、これらの遺伝子発現を抑制する結果が得られた。これらの結果からIL-35が何らかの形でヒト歯肉上皮細胞に対して炎症を抑制する働きが示唆された。 すなわちIL-35は、歯周病病態において、過剰な炎症に対して、歯肉溝滲出液等を介して歯肉上皮細胞の炎症を抑制する可能性が示唆された。
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