前年度yori、ヒト歯肉上皮癌株化細胞(Ca-22)を用いてた実験結果において、P.gingivalis由来LPSを添加することにより炎症性サイトカインの遺伝子発現が上昇し、IL-35を添加することでこれらの遺伝子発現が抑制することを報告した。今年度は、前年度と同様の実験を行い伝達経路の確認を行った結果、ウェスタンブロット法にてIL-35添加によりERKおよびp-38のリン酸化の抑制を認めた。またLPSにより上昇したTLR2がIL-35添加により遺伝子発現の抑制が認められた。 これらの結果より、歯周病病態において抗炎症性サイトカインであるIL-35は、歯肉上皮細胞に働き、P.gingivalis由来LPSの受容体であるTLR2の抑制と、MAPキナーゼ経路のシグナル伝達分子であるERKやp38のリン酸化抑制を介して、炎症性サイトカイン産生を抑制し、歯周病病態の過剰な炎症反応を制御する可能性が示唆された。 しかし研究実施計画書に記載したEbi3-/-マウスに関しては有意な差が認められなかった。今後は実験条件の検討を行い再検討する予定である。
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