研究課題
インドールアミン酸素添加酵素2 (Indoleamine 2,3-dioxygenase 2;IDO2) は、トリプトファンをキヌレニンに代謝する酸素添加酵素である。IDO2はIndoleamine 2,3-dioxygenase 1(IDO1)のアイソフォームとして新たに同定されたが、生体内での生理学的役割は明らかとなっていない。本研究では、 培養細胞およびノックアウトマウスを用いた解析によりIDO2の生理的機能を明らかにし、さらにはIDO2の免疫系に及ぼす役割について解明したいと考えている。昨年度は、IDO2ノックアウトマウス(IDO2 KO)を用いた炎症モデルにおける検討を行った。炎症モデルを用いた検討においてIDO2 KOマウスは、野生型マウスに比べ生存率の低下が認められた。また各種臓器(肺、脾臓、肝臓、腎臓)において、病態の悪化および炎症性サイトカインの分泌の亢進が認められた。本検討によりIDO2は、炎症反応における重要な因子の1つである事が明らかとなった。本年度は、炎症モデルを用いてさらに詳細にIDO2が免疫系に及ぼす役割について検討を行う予定である。また臨床材料を用いたIDO2の発現と各種炎症性疾患の予後との関係についての解析を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
昨年度、病態モデルでの解析を終え、炎症とIDO2との関連性を明らかにすることが出来た。よっておおむね順調に進展していると考えられる。
IDO2が関与する免疫機能を明らかにするため、下記の検討を行う。1)IDO2ノックアウトマウスおよび強発現細胞株を用いた検討。マウスの急性期炎症モデルを用いて、IDO2のサイトカイン分泌に及ぼす影響を検討する。また炎症時の各臓器(肺、脾臓、肝臓、腎臓)において病理学的解析を行い、野生型とノックアウト マウスの炎症状態を比較することで、IDO2の免疫系への関与について検討を行う。IDO2強発現細胞株を用いて、IDO2発現が炎症反応に及ぼす役割について検討を行う。2) 臨床材料を用いたIDO2の発現と各種炎症性疾患の予後との関係についての解析。健康科学リソースセンターおよび関連病院から、健常人、川崎病、関節リウマチ症例など疾患履歴の明らかなサンプルを用いて、IDO2の発現および各種トリプトファン代謝関連酵素の発現および代謝産物の量と予後との関係について検討を行う。3) 各種炎症性疾患におけるIDO2とその関連分子をターゲットとした疾患階層化システムの有用性の検討。各種炎症性疾患での疾患階層化システムの確立を行うために、IDO2発現および基礎的な検討により抽出された関連分子の発現 の測定結果と予後について統計解析を行い、疾患階層化システムの確立を目指す。
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