研究課題
Indoleamine 2,3-dioxygenase 1(IDO1)は、生体内におけるトリプトファン代謝の主要経路であるキヌレニン経路の初期反応を触媒するトリプトファン分解酵素であり、インターフェロンγ(IFN-γ)などの炎症性サイトカインにより酵素誘導され、免疫調節因子として働いている。近年、IDO1に加えて、IDO1と45%のホモロジーを有したIDO2と呼ばれる新しいアイソフォームが同定された。IDO2はIDO1に比べトリプトファン代謝活性が低い分子であり、これまでに樹状細胞で酵素誘導がみられること、また恒常的に脳、肝臓、腎臓など多くの組織に発現していることが明らかとなっている。しかし、IDO2の生体内での生理学的機能はいまだ不明な点が多い本研究では、IDO2遺伝子欠損マウスやIDO2強発現培養細胞を用いた検討により、生体内でのIDO2の生理的機能を明らかにすることを目的とした。またこれまでにトリプトファン代謝は免疫機能に深く関与していることが報告されている。そこで新規トリプトファン代謝酵素IDO2が炎症反応に及ぼす影響について検討を行った。急性炎症モデルを用いた解析において、IDO2遺伝子欠損マウスでは野生型マウスに比べ生存率の低下が認められた。また組織障害の増強や炎症性サイトカインの分泌亢進が見られた。一方IDO2強発現細胞を用いた解析では、培養上清中へのサイトカイン分泌の抑制が認められた。網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、IDO2発現は、炎症性サイトカインのシグナルを抑制する事が明らかとなった。本検討よりIDO2はサイトカイン分泌を抑制する重要な免疫調節分子である事が明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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