本研究の目的は、フィジーの保健師が地域の情報を効果的に収集・分析し、分析された情報を活かして活動を行う能力、即ちコミュニティ・オリエンテーション(CO)を向上させる教育プログラム(以下プログラム)を開発・検証することである。当初計画に基づき、1) プログラム開発・試験的運用、 2) COの影響要因の明確化及び提言を行った。以下、概略を記述する。 1)プログラムの開発に先立ち、COに基づいた地域保健活動に必要な態度についての尺度(以下、CO尺度)を再度検討し、英文学術誌に発表した。次に前年度に結成されたワーキンググループと協働で1.5日間のプログラムを作成した。フィジー保健省、プログラムを実施する地方保健局長に実施の許可を得た。保健師40名(38名参加)、指導者40名(40名参加)を募集し、プログラムを4回実施した。プログラムの有効性の検証はプログラム評価質問紙(6項目5段階評価)、CO尺度(30項目5段階)、リフレクションシート、研修中のワークシートを用い、質的・量的方法を用いて分析した。質問紙の分析ではプログラムは高い評価を示した。参加者の研修の学びに関する内容分析では、『地域活動に地域の情報の活用する重要性』、『地域での地域看護師と住民の関係の在り方を再認識』、『COCHNの活用した自己研鑽と人材育成』が抽出された。2020年3月にフォローアップ研修を実施する予定であったが、新型コロナ感染症の流行により実施できなかった。 2)関連要因の特定に関しては、1)のCO尺度得点と関連要因の関係を分析、ワークシートを質的に分析した。年齢、職場内同僚の有無、経験年数、研修回数の各2群検定に有意差は認められなかった。質的分析では、『物的資源』、『仕組み』、『教育支援』が抽出された。本結果を学会で発表した。また、1)、2)の結果を論文にまとめ、英語校正が終了した。今後、投稿予定である。
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