研究課題/領域番号 |
17H07225
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
松川 雄哉 南山大学, 外国語学部, 講師 (50803871)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | メンタルレキシコン / 語彙連想 / 検索 / 第二言語語彙学習 |
研究実績の概要 |
人間の脳内に記憶された単語は、その意味や統辞、発音などに関する情報を元に他の無数の言葉とつながり、ネットワークを形成している。そのネットワークの構造を調べるために、語彙連想テストが使われている。だが外国語学習において、外国語の連想語を使って新しい単語を覚える有効性についての研究はほとんどない。母語であれば、連想語を手がかりにある言葉を思い出すことが記憶強化に効果的であるという報告があるため、外国語においてもこの方法が語彙学習に役立つのではないかと考えられる。 本研究の目的は、フランス語学習者が新しいフランス語の単語を覚えるとき、頭の中で既に知っているフランス語の連想語とどのようなつながりを作って学ぶのか、そのつながりは、フランス語の語彙数が多い人と少ない人で違いがあるのか、そしてこの連想語を使った学習方法は効果的なのかを調査することである。 実験では、大学でフランス語を学ぶ学生を対象に、9個の新語から、彼らが既に知っているフランス語の連想語を挙げてもらい、それと新語を一緒に覚えてもらう。それを通してどのくらい単語が覚えられたかをテストで測定し、語彙数を測るためのテストも実施する。1週間後、覚えてもらった9個の新語について同じテストを実施し、その後インタビューを実施した。 前年度は、数名のフランス語学習者に協力いただいた。実験参加者が共通して挙げた連想(例えば、フランス語の「カエデ」という単語に対して「葉っぱ)もあれば、独特な連想もあった。例えばある参加者は、フランス語の「チーター」にという単語対して「リュックサック」を連想した。そのとき持っていたリュックサックがヒョウ柄だったためである。このように、学習者は語彙を学習する際に、自分にとって身近なイメージを使うことがあり、このようなイメージを利用した場合の記憶は忘れにくい傾向があることが今までのところ分かっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究が当初の予定よりもやや遅れてしまっている理由は2つある。1つ目は、本実験参加者の募集方法である。前年度は実験のチラシを作成し、私が担当しているフランス語の授業の前の休み時間にチラシを配って実験の概要を説明したが、多くの人の興味を引かなかったと感じている。もっと多くのフランス語学習に告知をするためには、チラシを配る範囲を広げる必要がある。それだけでなく、実験の概要がより明確になるようにチラシの質を見直す必要があるだろう。 2つ目は実験実施に関することである。本研究には、大学でフランス語を学ぶ学生約40名に協力いただきたいと考えているが、実験方法上の理由から、どうしてもデータ採取に時間がかかってしまう事情がある。まず、実施は1名ずつとなり、それぞれの実験参加者は2日(1日目と2日目のインターバルは1週間)に渡って面会する必要がある。また、実験への参加が負担にならないように、実験への参加は学生さんが大学に来ている時に限る。従って、定期試験期間は避けなければならない。以上の理由から、実験参加者とのスケジュールを組みにくく、データ採取は思うように進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はより多くの実験参加者を集めるために、実験参加への依頼方法を改善する。まず、本実験を説明するチラシは、レイアウトを工夫し、より見やすく、よりわかりやすいものに修正する。次に、実験参加依頼の範囲を広げる。そのために、フランス語の授業を担当してる他の先生に許可を得た上で、授業前の休み時間に訪問し、チラシを配り、簡潔に実験について説明する。もし本実験に協力してくれる学生がいた場合は、できればその場でアポイントを取るようにする。以上の2点を実行し、夏休み前にはデータ採取を終え、データ分析に移りたい。
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