第二言語・外国語の学習過程においても、学習者は当該言語で語彙ネットワークを形成しながら語彙知識を発展させていく。本研究では、フランス語学習者がフランス語の新語を連想で覚えることが語彙学習に有効なのか、またその際、どのような語彙ネットワークを形成しながら学習するのかを調査した。 調査には、39名のフランス語学習者が参加した。参加者は9個のフランス語の新語を覚えるために、それぞれの新語に連想語を制限時間内にフランス語で書いてもらった。その後、参加者が書いたフランス語の連想語だけを見て、新語を思い出す「語彙検索」トレーニングを行なってもらった。これらの手続き後、事後テストそれから語彙サイズテストを実施した。そしてその1週間後、事後テストと同じ内容の遅延テストを実施し、参加者一人一人に対してインタビューを行なった。インタビューの目的は、まずそれぞれの新語に書いた連想語の理由、それから語彙検索トレーニングを試してみた感想、そして最後に普段どのように語彙学習を行なっているかを尋ねることであった。 調査の結果、連想による語彙検索トレーニングは、新語を覚えるのに有効であることが分かった。また、参加者は、パラディグマティック連想を使って新語を学ぶ傾向があることが分かった。インタビューの証言から、フランスに留学経験がある参加者とそうでない参加者とで連想のプロセスに違いがあることが分かった。つまり、フランスに留学経験がない参加者は、連想の際、新語の日本語訳から連想語を探すのに対し、留学経験がある参加者は、フランス語の新語から、留学時代の思い出にアクセスし、その中から新語に関係のあるフランス語を探す傾向がある。 本研究の成果は、2018年12月16日に東京外国語大学で開催された外国語教育学会にて発表し、2019年4月6日に当該学会が発行している学術誌に論文を投稿した。論文は現在審査中である。
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